事例研究発表会 ~各課の取り組み~

① 在宅福祉課 (チーム:IKT)
記録のための時間から、利用者と向き合う時間へ ~ICT・AIを活用した業務効率化とケアの質の向上~
在宅福祉課では、「ICT・AIを活用した業務の効率化と利用者支援の充実」をテーマに発表しました。
日々の業務では、書類の印刷や事業所への情報提供、記録作成などに多くの時間を費やしていました。そこで、利用者と向き合う時間を確保するため、PDFやメールによる情報共有、AIを活用した記録作成、ケアプランデータ連携システムによる情報連携の効率化に取り組みました。
その結果、提供票の印刷枚数は約73%削減され、担当者会議などの記録作成時間も1件あたり平均約1時間から15分へと短縮されました。また、会議録の作成期間も短縮されるなど、業務の効率化につながっています。
こうした取り組みによって生まれた時間は、利用者との会話や個別支援、ご家族との関わり、多職種との連携などに活用されています。利用者やご家族の話をじっくり聞く余裕が生まれ、急な相談にも対応しやすくなるなど、支援の充実にもつながっています。
一方で、AIが作成した記録の確認や個人情報の保護、職員への研修など、適切に活用していくための課題も報告されました。
今後も、ICT・AIの活用による業務の効率化を進めるとともに、そこで生まれた時間を利用者支援に還元し、ケアの質の向上につなげていきます。

② かたくりの園 (チーム:Shibitare)
地域密着型通所介護への移行 ~住み慣れた地域で楽しく~
かたくりの園では、令和8年4月1日から地域密着型通所介護へ移行しました。今回の事例研究発表会では、移行後の取り組みや、利用者の皆さんにより充実した時間を過ごしていただくための工夫について発表しました。
利用定員が30名から18名となったことを機に、これまでのサービスを見直し、一人ひとりの状態や希望に合わせた支援に取り組んでいます。
入浴では、ゆっくりと着替えや入浴を楽しんでいただけるよう介助方法を見直しました。利用者の皆さんとの会話が増え、鼻歌を歌ったり、楽しそうに話したりする姿も見られています。また、入浴を待つ時間には、塗り絵や読み聞かせ、会話などを取り入れ、交流の時間として活用しています。
健康管理では、毎月の体重測定に加え、日々の会話を通じて体調や生活の変化を把握し、異常の早期発見と在宅生活の継続につなげています。午後の活動は少人数のグループに分かれ、頭の体操や散歩、季節の山菜採りなどを実施。食事のおかずを選ぶ楽しみや、ホットケーキづくりなどのクッキングも取り入れ、日々の楽しみが広がるよう工夫しています。
さらに、地域のボランティアとの交流や、手芸グループで作った雑巾の保育所・学校への寄贈など、地域とのつながりを感じられる活動も大切にしています。
一方で、職員体制の確保や、難聴の利用者への伝わりやすいコミュニケーション、地域住民との交流機会の拡大などが今後の課題となっています。
今後も、利用者の皆さんが住み慣れた西和賀町で安心して生活を続けられるよう、一人ひとりに合った支援と地域とのつながりを大切にしていきます。
「かたくりに来てよかった、楽しかった」と感じていただける場所を目指し、これからも取り組みを進めていきます。

③ 施設福祉課 (チーム:TEAM EACH)
夜間停電時における利用者の安全確保に向けた初動対応の現状と課題
特別養護老人ホームぶなの園のでは、「夜間停電時における利用者の安全確保に向けた初動対応の現状と課題」をテーマに発表しました。
地震や豪雨などの自然災害が発生した際、高齢者施設では利用者の生命と安全を守るための備えが欠かせません。特に夜間は少人数の職員で対応する必要があることから、停電時の初動対応について、職員が抱える不安や課題を把握するため、アンケート調査を実施しました。
調査の結果、利用者の安否確認や安全確保を優先する意識がある一方で、消火器や火災報知器、懐中電灯の設置・保管場所を十分に把握していない職員が多いことが分かりました。また、防災マニュアルの保管場所を把握していない職員は94%、在宅酸素利用者の停電時対応について、把握できていない、または対応に自信がない職員は88%に上りました。
自由記載では、見守りセンサーやカメラの停止、暗闇での転倒事故、医療機器への対応、少人数での利用者の安全確保など、さまざまな不安が挙げられました。これらの結果から、必要な設備や備品の場所、停電時の対応方法、利用者の状態に応じた対応の優先順位を職員間で共有する必要性が明らかになりました。
今後は、今回の調査結果を防災委員会での検討や日頃の防災訓練に生かし、夜間の停電を想定した実践的な訓練と対応方法の見直しを進めていきます。
ぶなの園では、今回明らかになった課題を防災体制の充実につなげ、非常時にも職員が落ち着いて行動し、利用者の安全を守れる施設づくりに取り組んでいきます。
【講評】
講評者のお二人から、それぞれの発表や日頃の取り組みに対して敬意が表されました。
最優秀賞 在宅福祉課 (チーム:IKT)記録に費やす時間や時間の使い方に着目し、AIやICTを活用することで業務の効率化と時間短縮を図り、驚くべき効果を上げている点が高く評価されました。今後は、導入にかかるコストと得られる効果を比較した分析も加えることで、さらに説得力のある発表になるとの講評がありました。
優秀賞 かたくりの園 (チーム:Shibitare)地域密着型への移行後の様子が分かりやすく伝えられていました。スライドも見やすく、文字数を抑えた簡潔な構成で、理解しやすい発表だったとの評価がありました。一方で、制度の違いや移行によって何が変わったのかを、介護保険制度に詳しくない人にも分かるように説明すること、さらに利用者の声を盛り込むことで、より内容が深まるとの助言がありました。
奨励賞 施設福祉課 (チーム:TEAM EACH)災害時などのリスクマネジメントについて問題提起がなされ、今後どのように取り組みが進められていくのか期待が寄せられました。今回、課題を洗い出したことを出発点として、ぜひ今後の具体的な改善につなげてほしいとの講評がありました。
日々の業務の中で実践していることを振り返り、課題や工夫をまとめ、発表することは、決して簡単なことではなかったと思います。今回の発表を通じて得られた気づきや学びを、それぞれの職場での実践につなげ、法人全体のサービスの向上に生かしていければと思います。今夜はおいしいお酒を飲んで、ゆっくりと疲れを癒やしてください。(来年につづく)