『猿の嫁っこ』
昔3人の娘と一緒に暮らしていた爺さまがいました。ある日爺さまは山の草刈りに出かけたところ、大きい猿が現れました。爺さまはその大の猿に『草を取ってくれたら3人の娘のうち、誰か一人を嫁にあげるよ』すると猿は一生懸命に山の草を取り、綺麗に取り終えました。『後で家まで娘をもらいに行くよ』by猿・・・爺さまは大変な約束をしてしまったと寝込みました。上の娘に猿の嫁に行くように話をしても『嫌だ』 と言い爺さまを踏みつけ、2番目の娘に話をしても『猿には嫁がない』 とこの娘も爺さまを踏みつけました。困り果てた爺さまは、末の娘にお願いしました。三番目の娘は困っている爺さまをみて、嫁にいくことを了承しました。次の日、猿が迎えに来て3番目の娘は猿のもとに嫁いでいきました。(月日はながれ)『3月の節句にお餅を臼まずら(臼ごと)背負って、実家に帰るのがしきたりだ』と旦那である猿に臼を背負わせる末娘。実家に帰る道中、綺麗な桜が咲いていました。娘は猿に『あの桜の枝を取ってきて、もっと上の・・・』と猿を木の先端に誘導したところで、猿はズラリ足を滑らせて川へ落下しました。【猿さんが流れる命は惜しぐないけども、後で泣く 姫が悔しかろらん】と歌を詠み亡くなりました。猿が溺れ死んだのを確認し、娘はルンルン実家に帰りましたが・・・。爺さまを踏みつけた二人は足が腐って亡くなっていました。
今日は20年前ラーメン屋に勤務していた、地下さんによる紙芝居を行いました。(地下さんはラーメン屋3店舗で修行したそうです)『さるの嫁っこ』という物語です。(上記参照)西和賀に伝わるお話しだそうですが、誰も得をしないとてもダークな話しです。
悲しい話しだったのですが、嫁が三月の節句に餅をもって帰るシーンで、なぜか参加された利用者の女性陣が盛り上がっています。話を伺うと・・・沢内では嫁にいった娘が三月の節句に『鍋借り』といって、嫁ぎ先の姑さんから米をもらい、里帰りして骨休めをしていたそうです。(嫁いだ翌年の三月の節句に1回のみ)ちなみに、地下さんは『鍋借り』はしたことは無いそうですが、お話を聞いていた皆さんは1回だけ里帰りを満喫されたような話をされていました。
亡くなられた猿を想い暗い気持ちになりましたが、皆さんの若いころの話を聞くことができて貴重なひと時となりました。ありがとう地下さん。